冷蔵冷凍車の選び方

中古ハイエース冷凍・冷蔵・保冷車の性能を徹底比較!冷却能力や燃費の違いとは?

食品配送や医薬品輸送など、厳格な温度管理が求められるビジネスにおいて、冷凍冷蔵車は不可欠な存在です。

中でも、日本の道路事情にマッチしたサイズ感と高い信頼性から、「ハイエース」をベースにした中古の冷凍・冷蔵・保冷車は、多くの事業者様から絶大な人気を誇ります。

しかし、一言で「温度管理ができるハイエース」といっても、「冷凍車」「冷蔵車」「保冷車」では性能が大きく異なり、冷却能力や燃費も様々です。

「自分のビジネスにはどのタイプが合っているんだろう?」

「中古で買う場合、どんな点に注意すればいいの?」

このような疑問をお持ちではないでしょうか。

最適な一台を選ぶためには、それぞれの性能の違いを正しく理解することが何よりも重要です。

この記事では、中古ハイエースの購入を検討されている事業者様に向け、冷凍車・冷蔵車・保冷車の具体的な性能差、特に「冷却能力」と「燃費」に焦点を当てて徹底的に比較・解説します。

さらに、性能面で失敗しないための購入時のチェックポイントまで、専門店の視点から詳しくご紹介します。

まずは基本から!冷凍・冷蔵・保冷車の役割と構造の違い

性能比較に入る前に、まずは基本となる「冷凍車」「冷蔵車」「保冷車」のそれぞれの役割と構造の違いについておさらいしましょう。

運ぶ荷物の種類によって、求められる機能は全く異なります。

荷物を凍らせて運ぶ「冷凍車」の冷却システムと特徴

冷凍車は、その名の通り、荷室(庫内)をマイナス温度まで冷却し、冷凍状態を維持しながら輸送するための車両です。

主に冷凍食品やアイスクリーム、高い鮮度が求められる魚介類などの輸送に用いられます。

【冷却システム】

冷凍車の最大の特徴は、強力な「冷凍機」を搭載している点です。

車のエンジン動力や専用のサブエンジンを使ってコンプレッサーを動かし、冷媒を循環させることで庫内を冷却します。

家庭用エアコンの室外機と室内機が一体になったような強力なシステムを想像していただくと分かりやすいでしょう。

【性能・特徴】

  • [設定温度] 低温仕様では-25℃以下、中温仕様でも-5℃前後までの強力な冷却が可能です。
  • [構造] 庫内の冷気を逃さず、外気の熱を遮断するため、分厚い断熱材でボディが覆われています。
  • [用途] 冷凍食品、アイスクリーム、生鮮食品(鮮魚)、医薬品など、厳格な氷点下での温度管理が必要な荷物の輸送に使用します。

一定のチルド温度を維持する「冷蔵車」の冷却システムと特徴

冷蔵車は、庫内を0℃〜10℃程度のチルド温度帯に保つための車両です。

野菜や果物、乳製品、弁当、生菓子など、凍らせてはいけないが、常温での輸送は品質を損なう荷物の輸送に活躍します。

【冷却システム】

冷蔵車も冷凍車と同様に「冷蔵機(冷凍機)」を搭載していますが、冷凍車ほどの強力な冷却能力は必要とされません。

設定されたプラスの温度帯を安定して維持することが主な役割です。冷凍車と兼用の「中温設定」が可能な冷凍冷蔵車も多く存在します。

【性能・特徴】

  • [設定温度] 一般的に0℃〜10℃程度のプラス温度帯を維持します。
  • [構造] 冷凍車(低温)ほどではありませんが、庫内の温度を一定に保つために、断熱構造となっています。
  • [用途] 野菜、果物、精肉、乳製品、弁当、惣菜、生花、一部の医薬品など、凍結を避けつつ低温管理が必要な荷物の輸送に適しています。

シンプルな断熱構造で外気温を遮断する「保冷車」の特徴

保冷車は、冷凍機や冷蔵機といった冷却装置を持たない車両です。

荷室全体が断熱材で覆われており、魔法瓶のように外気温の影響を受けにくくすることで、庫内の温度上昇を緩やかにします。

【冷却システム】

冷却装置は搭載していません。

出発前にドライアイスや保冷剤を使ってあらかじめ庫内を冷やし、その冷たさを維持しながら短時間・短距離の輸送を行うのが基本的な使い方です。

【性能・特徴】

  • [冷却能力] 機械的な冷却能力はなく、あくまでも温度上昇を抑制するだけです。
  • [構造] アルミやステンレス製の荷室の内側に、発泡ウレタンなどの断熱材が施工されています。
  • [メリット] 構造がシンプルなため、車両価格が安く、冷凍機がない分メンテナンスコストもかかりません。燃費への影響もほとんどありません。
  • [用途] 弁当やパンのルート配送、青果の短距離輸送など、厳密な温度管理は必要ないものの、常温よりは低い温度で運びたい場合に適しています。

なぜ中古市場でハイエースが人気?ベース車両としての性能メリット

冷凍・冷蔵・保冷車には様々なベース車両がありますが、なぜこれほどまでにハイエースは中古市場で高い人気を誇るのでしょうか。

それは、ビジネスの現場で求められる数々の性能メリットを兼ね備えているからです。

街中での配送に有利な取り回しの良さと運転のしやすさ

日本の都市部や住宅街の道路は、決して広くはありません。

特にルート配送などでは、狭い道へ進入したり、Uターンしたりする場面も多く発生します。

ハイエースは、十分な積載量を確保しながらも、最小回転半径が比較的小さく設計されており、優れた取り回し性能を誇ります。

運転席からの視界も広く、車両感覚を掴みやすいため、トラックの運転に慣れていないドライバーでも安心して運転できるのが大きな魅力です。

この運転のしやすさは、ドライバーの負担を軽減し、安全運転にも繋がります。

高い耐久性と信頼性

毎日荷物を運び、長い距離を走る商用車にとって、何よりも重要なのが「壊れにくさ」です。

ハイエースは、その高い耐久性と信頼性で世界的に評価されています。

堅牢なボディ構造はもちろん、長年の実績に裏打ちされたエンジンや足回りは非常にタフです。

万が一の故障やトラブルは、配送の遅延やビジネスチャンスの損失に直結します。

中古車であっても、適切にメンテナンスされてきたハイエースは、長期間にわたって安定した性能を発揮してくれるため、ビジネスの頼れるパートナーとして安心して導入することができるのです。

メンテナンスのしやすさと部品の豊富さ

どれだけ耐久性が高くても、商用車である以上、定期的なメンテナンスや消耗品の交換は欠かせません。

ハイエースは国内で圧倒的な販売台数を誇るため、交換部品の流通量が非常に豊富です。

純正部品はもちろん、質の高い社外品も多く、比較的安価に入手できます。

また、構造がシンプルで整備性が高いため、多くの整備工場で対応可能です。

万が一の故障時にも修理に時間がかからず、スピーディーに現場復帰できる点は、ビジネスを止めないために非常に重要な性能メリットと言えるでしょう。

【性能比較①】最も重要な「冷却能力」を徹底解剖

ここからは、本題である「性能」の比較に入ります。

まずは、冷凍・冷蔵車選びで最も重要となる「冷却能力」について、専門的な視点から詳しく見ていきましょう。

冷凍車・冷蔵車の心臓部!冷凍機の種類(機械式・窒素式)と性能差

中古ハイエースに搭載されている冷凍機の多くは「機械式」と呼ばれるタイプです。

これは、車両のエンジン動力でコンプレッサーを駆動させ、冷媒ガスを圧縮・膨張させることで冷気を生み出す、最も一般的なシステムです。

  • [機械式のメリット] 構造が確立されており信頼性が高い。ランニングコスト(燃料代)のみで稼働できる。
  • [機械式のデメリット] エンジンに負荷がかかるため燃費が悪化する。コンプレッサーの作動音や振動が発生する。

一方で、特殊な用途では「液体窒素式」なども存在します。これは、-196℃の液体窒素を庫内に噴射して一気に冷却する方式です。

  • [液体窒素式のメリット] 冷却スピードが非常に速い。作動音が静かで振動がない。エンジンに負荷をかけない。
  • [液体窒素式のデメリット] 液体窒素の補充が必要で、ランニングコストが高くなる傾向がある。

一般的に中古市場で流通しているハイエースは、ほとんどが「機械式」です。

機械式の中でも、どのメーカーの冷凍機(菱重コールドチェーン、デンソーなど)を搭載しているかによって、細かな性能や操作性が異なります。

用途で見るべき設定温度の範囲(中温・低温)の違い

冷凍冷蔵車は、モデルによって冷却可能な温度帯が異なります。

これは運ぶ荷物の品質を左右する非常に重要なポイントです。

  • [低温仕様(-20℃以下)] 主に冷凍食品やアイスクリームなど、完全に凍結させた状態を維持する必要がある荷物に適しています。より強力な冷凍機と分厚い断熱材が使用されており、真夏の炎天下でも安定した冷却性能を発揮します。
  • [中温仕様(-5℃〜+25℃程度)] チルド品や野菜、弁当など、凍らせてはいけない荷物の輸送に適しています。幅広い温度設定が可能で、冷蔵輸送から、少し凍らせたい商品まで、様々なニーズに対応できる汎用性の高さが魅力です。

自分のビジネスで扱う荷物が、どの温度帯での管理を必要とするのかを明確にし、それに合った仕様の車両を選ぶことが不可欠です。

低温仕様の車両は、中温帯での使用も可能ですが、一般的に車両価格や燃費の面で不利になる場合があります。

見落としがち?断熱材の厚みや素材が冷却効率に与える影響

優れた冷凍機を搭載していても、庫内の断熱性能が低ければ、冷気はすぐに逃げてしまい、冷却効率は著しく低下します。

これは、冷凍機の稼働時間を増やし、燃費の悪化にも直結します。

断熱材には硬質ウレタンフォームなどが主流で、その「厚み」が性能を大きく左右します。

一般的に、低温仕様の冷凍車ほど分厚い断熱材が使用されています。

中古車を見る際は、庫内の壁の厚さにも注目してみてください。

また、庫内の床の形状も重要です。

例えば「キーストン」と呼ばれる凹凸のある床は、冷気の通り道を作り、荷物の下にも効率的に冷気を循環させることができます。

一方で、台車などを使う場合はフラットな床の方が作業効率が良い場合もあります。

こうした細かな仕様の違いが、実際の使い勝手や冷却性能に影響を与えるのです。

【性能比較②】ランニングコストに直結する「燃費」の違い

車両導入後のランニングコストとして、最も気になるのが「燃費」ではないでしょうか。

冷凍・冷蔵車は、車両を走らせるだけでなく、荷室を冷やすためにもエネルギーを消費します。

冷凍機の稼働はどのくらい燃費に影響するのか?

機械式の冷凍・冷蔵車は、車両のエンジン動力を利用してコンプレッサーを回します。

つまり、冷凍機をONにすると、常にエンジンにエアコンのコンプレッサーが作動している以上の負荷がかかることになります。

そのため、冷凍機を稼働させると、ベース車両のカタログ燃費よりも燃費は悪化します。

特に、外気温が高い夏場は、設定温度を維持するためにより多くのエネルギーが必要となるため、燃費への影響はさらに大きくなる傾向があります。

一般的に、10%〜20%程度の燃費悪化を想定しておくと良いでしょう。

この燃費性能は、車両の年式、走行距離、メンテナンス状態、そして冷凍機自体の効率によっても変化します。

ガソリン車とディーゼル車、燃費性能で選ぶならどっち?

ハイエースにはガソリンエンジンとディーゼルエンジンがあります。

燃費性能を重視する場合、どちらを選ぶべきでしょうか。

  • [ディーゼル車のメリット[一般的にガソリン車よりも燃費が良い。燃料である軽油がガソリンより安い。低回転から力強いトルクを発生するため、重い荷物を積んだ状態でも安定した走行が可能。
  • [ディーゼル車のデメリット]車両価格が比較的高価。エンジン音が大きい。近年の排ガス規制に対応するための装置(DPF/DPR)のメンテナンスが必要。
  • [ガソリン車のメリット] 車両価格が比較的安価。エンジン音が静かで振動が少ない。
  • [ガソリン車のデメリット] ディーゼル車に比べて燃費が劣る。重い荷物を積むとパワー不足を感じることがある。

年間の走行距離が長い場合や、高速道路を多用する場合は、燃料コストを抑えられるディーゼル車が有利です。

一方で、走行距離が短く、市街地での配送がメインであれば、車両価格や静粛性で勝るガソリン車も有力な選択肢となります。

待機中の冷却も可能にする「スタンバイ機能」の有無と燃費の関係

「スタンバイ機能」とは、車両のエンジンを停止した状態で、外部の電源(家庭用AC100Vまたは三相200V)に接続して冷凍機を稼働させられる機能です。

この機能があれば、荷物の積み下ろしや夜間の待機中などに、エンジンを止めたまま庫内を冷やし続けることができます。

これにより、無駄なアイドリングが不要となり、大幅な燃料の節約とCO2排出量の削減に繋がります。

また、早朝や深夜の住宅街での作業でも、エンジン音を気にせず荷物の温度管理ができるという大きなメリットもあります。

性能面で失敗しない!中古車購入時のチェックポイント

これまで解説してきた性能の違いを踏まえ、実際に中古車を選ぶ際に、性能面で失敗しないための具体的なチェックポイントをご紹介します。

冷凍・冷蔵装置の動作確認|異音や冷え具合を必ずチェック

最も重要なのが、心臓部である冷凍・冷蔵装置の状態確認です。

必ずエンジンをかけて冷凍機をONにし、以下の点を確認しましょう。

  • [異音・振動] コンプレッサーやファンから「ガラガラ」「ウィーン」といった過大な異音がしていないか、不自然な振動がないかを確認します。
  • [冷え具合] 実際に庫内に入り、冷風がきちんと出ているか、設定温度までスムーズに温度が下がるかを確認します。可能であれば、しばらく稼働させて、どのくらいの時間で設定温度に達するかを試させてもらうと良いでしょう。
  • [コントローラー] 運転席にある温度コントローラーの液晶表示は正常か、スイッチ類は問題なく操作できるかを確認します。

庫内の状態を確認|壁の傷やへこみ、床の状態

庫内の状態は、前オーナーがどのように車両を扱ってきたかを知るバロメーターであり、断熱性能にも影響します。

  • [壁の状態] 内壁に大きな傷や深いへこみがないかを確認します。断熱材まで達するような損傷は、結露やカビの原因となり、断熱性能の低下に繋がります。
  • [床の状態] 水を扱う荷物を運んでいた車両は、床が腐食している場合があります。特に四隅や継ぎ目を念入りにチェックしましょう。
  • [清掃状態] 庫内の臭いや汚れも重要です。特に食品を扱う場合は、衛生状態を厳しくチェックする必要があります。

冷却性能を保つ重要部品「ドアパッキン」の劣化具合

見落としがちですが、非常に重要なのが庫内のドアに取り付けられているゴム製の「ドアパッキン」です。

このパッキンが硬化したり、切れたり、変形したりしていると、そこから冷気が漏れ、外気が侵入してしまいます。

そうなると、いくら冷凍機が頑張っても庫内は冷えず、冷却効率が大幅に低下します。

結果として、冷凍機は常にフルパワーで稼働し続けることになり、燃費の悪化や装置の寿命を縮める原因となります。

ドアを閉めた際に、隙間なくピッタリと密着するかどうかを必ず確認しましょう。

まとめ

今回は、中古ハイエースの冷凍・冷蔵・保冷車について、性能面、特に「冷却能力」と「燃費」に焦点を当てて詳しく解説しました。

冷凍車、冷蔵車、保冷車は、それぞれ役割と構造が全く異なるほか、中古車の場合は装置の動作確認や庫内、ドアパッキンの状態チェックが不可欠と言えます。

「自分の使い方だと、中温と低温どっちがいいんだろう?」

「この中古車の状態って、実際どうなの?」

中古の冷蔵冷凍車を選ぶときに少しでも迷ったり、不安に感じたりしているのであれば、一度、私たちグローバルクレスト川越にご相談ください。

グローバルクレスト川越では、専門知識を持つスタッフが、お客様のビジネス内容やご予算、ご要望を丁寧にお伺いし、数多くの選択肢の中から最適な一台をご提案させていただきます。

まずはお気軽にお問い合わせください。

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